小・中学生のレッスン

自分で楽譜が読めるようになることの大切さ

去年、3月~7月頃に、入会した幼稚園、小学生の生徒さんたち。そろそろレッスン開始から1年を迎えようとしています。

それぞれ、進歩していますが、一番大切なこととして、楽譜が自分で読めるようになってきた、ということが挙げられます。

楽譜が自分で読めるようになると、新しい曲を自分ひとりで弾くことができるようになります。これは、とても大きなことなのです。

昨日レッスンをした小学生の生徒さんたち。今までずっと勉強してきたト音記号の楽譜はスラスラ読めます。

ここで新しく出てきた、へ音記号の低いドレミファソにも、最初は戸惑ったものの今はだいぶ慣れて、どんどん階名が言えるようになってきました。

レッスン中に音符カードを見てすぐに言えるようにすること。「うたあそび」で出てきた音符をその場で読む練習をすること。実際にピアノの前に座った時、次の曲の階名を自分で言うこと。

音楽ドリルや、教本のワークブックに書き込んで覚えること。こちらは宿題になることがほとんどです。

合わせて、リズム打ちもたくさんやっています。「うたあそび」にも、よく出てきますし、教本のワークブックでもたくさん練習します。

ですから、ピアノを弾く場合も、拍子を数えながら弾く習慣がついてきます。

こういうことを1年、繰り返してきたので、楽譜が読めるようになってくるのです。

自力で楽譜が読めるようになることは、音楽の本来から言うと第一歩です。でも、その第一歩が踏み出せないと、なかなか他の要素までいきにくいのも確かです。そういう意味では、基礎の基礎ということになります。

昨日も、背が伸びたな、と思いながら、小学生たちを見ていました。少しお姉さんになって、そして、ピアノも去年より上手になって、もうすぐ進級の時期を迎えます。

生徒さんの成長を実感

昨日、ちょうど前の生徒さんが帰った直後、誰もいないレッスン室に入ってきた小学校1年生の生徒さん。第一声が「もうすぐ誕生日なんだ!」

「そう、お誕生日、いつなの?」「18日。」「じゃあ、もうすぐ7歳なんだね。」

うれしそうです。子どもたちにとっては、お誕生日で、1つ歳が増えることはほんとうにうれしい。成長を自分でも実感できるからでしょう。

この1年で、できるようになったことがたくさんあります。クリスマス会では、頑張ってお姉さんと連弾をしました。練習をたくさんして、本番に向かう経験を積みました。

音符もずいぶん早く読めるようになって、昨日も、音符カードを見ながら、「ド」「ソ」と次々に読むことができました。

リズム打ちは、早い段階で上手にできるようになっていましたが、昨日の「うたあそび」の課題のリズム打ちも、スムーズです。

何よりも、集中力が1年前とは全然違っています。30分、集中してレッスンに取り組めるようになりました。

ピアノに向かった時、そういう一つ一つの力が発揮されます。「ビッグベンのかね」が次の課題ですが、音符を読み、3拍子のリズムを感じながら弾く。

それがすぐできるようになりました。付点四分音符の3拍も、自分で「1・2・3」と数えながら、伸ばせます。

力は、一朝一夕につくものではありません。毎日はほんの少しずつの積み重ね。でも、それを積み重ねたかどうか、というのは、とても大きいことです。ふとある日気がつくと、あれもこれも一度にスッとできるようになっている。

特にお子さんの場合は、そういうことが多いように感じます。最初はよく分からないまま重ねていた経験が、ある一定の量、蓄積すると、その意味が分かり、次にやるべきことが見えてくるようになるのでしょう。

大人の場合は、先に意味が分かり、やるべきことが見えています。そこに練習をしていく。

方向が逆ですね。だからこそ、どんな経験をするか、日々どれくらい積み重ねができるか、ということが大切になってきます。

もともと、歌が大好きで、「うたあそび」が楽しみな生徒さんです。レッスンの最初に「うたあそび」をするのが基本なのですが、この生徒さんの場合、本人が「最後にやりたい。」と言います。

ですから、ピアノの後に「うたあそび」。昨日も、歌をうたい、太鼓をたたき、ニコニコしながらレッスンを終え、帰っていきました。

見送りながら、お子さんの成長の速さに改めて感心し、うれしい気持ちになりました。

自力で頑張った!

両手の練習と、新しいヘ音記号、低いドレミの音符を覚えること。今、この段階で頑張っている小学生のレッスンが続きます。

「ピアノひけるよ!ジュニア2」のワークブックには、「かっこう」「ぶんぶんぶん」「ちょうちょう」の左手部分の階名を書き込む課題が続いています。

レッスンに来た小学校1年生の生徒さん、全部できてました。ピアノのレッスンに時間が取りたかったので、サッと○をつけ「全部できているね。音符が読めるようになってきたね。」と言ってピアノに移りました。

その時、「どうしてこんなに、この部分は鉛筆の跡があるんだろう?」とちょっと気にはなっていました。

ピアノでは、宿題だった「さよなら」を弾いて、○。次が「こいぬのマーチ」。

今、小学校1年生の生徒さん達は、学校の音楽の授業で「こいぬのマーチ」を鍵盤ハーモニカで練習中とのこと。ですから、レッスンにも熱が入ります。

何回も練習して、あとは、お家で練習しましょう、というタイミングでお母様がお迎えにきました。

お母様からは、両手の練習が難しいって言いながら、頑張っていたことを伺いました。

その後で、生徒さん本人に「音符の読み方、先生に聞いた?」と確認しています。生徒さんは「全部○だったもん。」と答えました。

階名を書く宿題で、ずいぶん苦戦していたこと。お母様は「自分で調べたり、分からなかったら先生に聞いたりすることも勉強だと思ったので、手助けはしませんでした。」とのこと。

分からない部分、答えが不安だった部分は、自分でワークの前のページを見て確認したり、線を数えたりして、書き込んだようです。

どうりで、楽譜に鉛筆の跡が残っていたはずです。自力で頑張ったしるしだったのですね。

お母様には「全部できていました。一人でそれをやり遂げたのですから、とても頑張ったのですね。成長しましたね。」とお話しし、私も、生徒さんの成長を実感して、とてもうれしくなりました。

ひとつひとつはなかなか目に見えてくるものではありませんが、ある日、ぐんと成長した印が見える。そんなことを改めて感じ、その場に立ち会うことのできる幸せを分けていだいた思いで、レッスンを終えました。

「うたあそび」は楽しい

幼稚園、小学生のレッスンには「うたあそび」を使います。これが楽しいのです。

見開き2ページで左側に歌と絵。右側にその歌でどんなことをするか、内容が書いてあります。

歌に合わせて踊るかリズム打ちをする。どちらかは必ず毎回入っています。

それに加えて、リズム打ちの課題や音符を読む、音符を見ながら歌う等の課題も入っています。

踊りは、「大きな栗の木の下で」のように、踊りもよく知られていて、すぐ踊れるものもありますし、動きを見ながら踊ることもあります。

小さいお子さんのほうが、すぐ覚えるので、2回も練習すると、すぐできます。ピアノは座っていますから、立って踊るとそれだけで変化がつきます。

手遊びも、だんだんテンポを速くして、集中しながら楽しみます。

歌いながらリズムをたたくときは、たいこを使ったり、タンバリンやカスタネットを使ったり。楽器が変わるとそれだけでも気分が変わります。

こちらも、2、3回練習すると上手にできるようになります。

そこで楽しんでいるので、その後のリズム打ちや音符を読む課題もスムーズに取り組めます。

最初はちょっと戸惑って、何回か練習することもありますが、2ヶ月もすると、リズム打ちも上手にできるようになってきます。

音符を読む課題も、ピアノで弾くときよりもずっと易しいので、すぐ読めて、自信になるようです。

たいていの生徒さんが1曲終わると「次の曲は…。」と確認しています。それだけ楽しみなのでしょうね。そして「『ひげじいさん』知っている!」とか、「この踊り、幼稚園でやったことがある!」とか、楽しそうに教えてくれます。

楽しみながらソルフェージュの力もついてくる。昨日もすぐに音符を見ながら歌えるようになっていた生徒さんを見ながら、私もうれしくなりました。

ピアノを習うことにはこんな良さもあります

ピアノを習うことによって、ピアノの上達以外にも、お子さんの成長が実感できる場面があります。

今日は、そのことについて書いていきます。

学校の音楽の授業に積極的になる

昨日のレッスンで、小学生の生徒さんがこんな話をしてくれました。

「次の参観日で、算数チームとか、国語チームとかに分かれるんだけど、私は当然音楽チーム!」

2月中旬に行なわれる参観日は、学習発表会。それぞれが好きな教科のチームに別れて発表するのだそうです。

「何をするの?」と聞くと「たぶん、リコーダーでエーデルワイスをやると思う。」とのこと。

楽しんで、積極的に音楽の授業を受けている様子が伝わってきて、とてもうれしくなりました。

継続する力・努力する力

当然のことながら、継続して何かをする力もつきます。私の教室の保護者の方が、アンケートに書いてくださった内容をご紹介しますね。

毎日、習慣的に何かを続けるということは大人でも難しいと感じますが、やはり、ピアノを弾くとうことが楽しいようで、自らピアノに向かい、娘の生活の一部となっています。

毎日、少しずつでも練習したほうが弾けるようになるということが分かってきたみたいで、努力できるようになってきました。

自分がやりたいと決めたことに対して、練習等めげずに頑張りたいという気持ちが大きくなりました。

積極性・自主性・集中力

積極性・自主性・集中力もついてきます。自分が「こうしたい」という思いが出てくるということは、レッスンしていても感じます。

自分からやってみようとする自主性であったり、集中力が増したと思います。「うちの子、こんなに○○できるんだ!」という我が子の新たな発見が多くあり、子供の可能性の大きさを実感しています。

自分が弾きたい曲の楽譜を買ってほしいと、欲が出てきました。

ピアノの宿題で、ひらがなやカタカナや数字を書くために、字の練習ももっとやりたいと頑張っています。

ピアノのレッスンを始めたことによって、積極的になにかに取り組むということができるようになってきたと感じます。

お子さんの可能性はたくさんあります

お子さんは、どんどん大きくなっていきます。多くの可能性を持っています。

ピアノを習うことによって、他のさまざまな面でも成長が見られるということを、ぜひ知っていただきたいと思いました。

幼稚園、学校に通っている生徒さんは、3学期でまとめの時期に入っています。4月に比べて、身長もぐんと伸びて、たくましくなっていることに気づき、微笑ましく思っている今日この頃です。

時には自分の弾きたい曲を選んでみよう

ピアノのレッスンだと、どうしても、教本中心になります。ある程度はやむを得ない部分もありますが、せっかく弾けるようになってきたのですから、時には、自分の弾きたい曲を選んで弾いていくことも、楽しさにつながります。

私自身はポップスを弾きませんが、生徒さんの希望を入れて時々は、そういう曲をレッスンの中に入れていきます。

音楽は楽しむことが大切。一方で、基本的な弾き方をしっかり身につけること。そして、いろいろな作曲家の音楽に親しみ、その美しさに触れて、感性を磨いていくこと。

もう一方で、自分たちの身近な音楽を楽しみながらピアノを弾くこと。この両方を、ピアノを学んでいくことで経験できます。

今、ある生徒さんは、あいみょんの「マリーゴールド」を、別の生徒さんは米津玄師の「lemon」を弾いています。

やはり、クラシックを中心に勉強してきた生徒さんは、タイがとてもたくさん使われているリズムに、少し難しさを感じるようです。

ただ、歌を知っているので、歌のイメージをしっかり持っていくことで、合わせやすくなっていきます。

幼稚園年長の生徒さんも、ずいぶん両手で弾けるようになってきました。

いろいろな曲を練習する中、「ジブリやディズニーの曲が弾いてみたい」ということで、楽譜を探してみることになっています。

ピアノとの付き合い方はさまざま。街のピアノ教室だからこそ、こだわる部分はこだわりつつ、生徒さんの生活が音楽を通して豊かなものになる、そんなお手伝いをしたいと考えています。

オーディションにチャレンジすることの意味

昨日は、小学校の伴奏オーディションに向けて、最後のレッスンをしました。

小学校の伴奏のオーディションは、今までも、何か行事などでピアノ伴奏を弾く機会があるごとに行なわれてきました。今回は、卒業式の合唱の伴奏です。

コントロールできることに意識を向ける

その生徒さんは、今までも何回もチャレンジしてきました。選ばれて実際に伴奏したことも何度もありますし、残念な結果だったこともありました。

オーディションは、当然のことながら、「結果として選ばれる」ためにチャレンジします。そのために練習を重ねていきます。

でも、選ばれること「だけ」を目標にすると「選ばれなかった私」は否定されてしまった気持ちになります。

オーディションにチャレンジする時は、自分でコントロールできることとできないことに分けてとらえること、コントロールできることに意識を向けて最善を尽くすこと、をいつも言っています。

国際コンクールでさえ常に意見は分かれ、時には「あの人が1位でないのなら帰る」と審査員が怒って帰ってしまうこともあるくらい、演奏者を「選ぶ」ということは難しいもの。

それだけに、チャレンジするときは、その過程に最善をつくすこと、自分なりに納得できる演奏ができること、その部分に意識を向けるようにしていくことが大切なのです。

練習の過程で上達する部分に意識を向ける

最善を尽くそうと努力する中で、ピアノそのものも、上達していきます。一度本番を経験すると、ぐんと上達することは、よく言われます。

今回、オーディションを受ける生徒さんも、今まで何度もチャレンジする中で、読譜の力がつき、短期間で弾けるようになりました。

細かく和声の変化を感じ取って、表現していく力もついてきました。逆に、曲全体を大きくつかんで、表現していく力もついてきました。

これらは、オーディションという本番を何回も経験したからこそ、短期間で大きく進歩することができたのです。

あとは本番で自分の最善を尽くすだけ

昨日のレッスンで聞かせてもらったところ、前回のレッスン時から、だいぶ弾き込んだとのことで、さらに上手になっていました。

もともと細やかな感性をお持ちのお子さんなので、練習をしっかり重ねてとても美しく弾くことができていました。

メトロノームでのテンポの確認。体育館で弾くとのことなので、音を遠くに飛ばす意識とそのための身体の使い方の確認。

そして、本番前にチェックするべきポイントをいくつかアドバイスしました。

「もうここまでやってあるから、大丈夫。本番も上手に弾ける。結果は待つしかないからね。」と話すと、「はい。選ぶのは、先生たちですから。」と今までに何回も言っていることなので、そんな答えが返ってきました。

本番で、自分の納得にいく演奏ができることを信じて、教室からエールを送りつつ、報告を待つことにします。

拍を感じながら弾こう

小学校6年生の生徒さんが、あいみょんのうたう「マリーゴールド」を弾きたいということで、練習を始めました。

クラシックとは違う部分もあって、楽しみながらも「難しい~!」と言って、レッスンに持ってきました。

私も、歌を聞いてみて(楽譜を見ながら歌ってみて)弾いてみて、生徒さんの弾くのを聞いて、なるほど、と感じた部分があるので、それについて書いてみます。

シンコペーション

やはり、なんと言ってもシンコペーションの多さ。

歌を聞いていると、それがとても自然で、だからこそ、音楽が前に進んで魅力的なのですが、それを楽譜にタイをたくさん使って書き、さらにそれを音にするとなると、話は違ってきます。

生徒さんも「右と左を合わせようとすると、すごく難しくなる。」と言っていましたが、その原因はこのシンコペーションを使ったリズムにあるのです。

歌の場合には、歌う人が拍を感じてバンドの演奏に合わせて歌えば良いのですが、右手と左手とで別々にリズムを刻むことは意外に難しいのです。

左右それぞれをリズムを感じながら練習する

伴奏の練習をたくさんしていたために、どうしても、他の曲の練習時間が少なくなりがちです。

片手ずつまず弾いてもらったのですが、4拍子を感じながら弾けるところまでには、あと一歩でした。

それを少し練習して、前奏部分の両手を合わせてみると、なんとか合わせることができました。

右手は右手で、歌のイメージを持ちながら、でも1234の拍子は常に意識する。左手は左手で、同じく1234の拍子を意識する。

それができてから、両手の練習。この手順を確実に踏むことが結果的に早道のようです。

ポピュラー音楽に限らない

もっとも、これはポピュラー音楽に限りません。どんな曲でも同じです。拍感、拍子感は常に大切です。

そして、その上にフレーズ感。特に歌詞のあるもの、伴奏を弾くときには、言葉と音との関係もしっかり見ていく必要があります。

「また、練習してきます。」と言って帰っていく生徒さん。夏のマリーゴールドの花のように元気で明るく、私も元気と明るさをたくさん分けてもらいました。

楽譜の読み方を学ぶ

ここのところ、両手で弾き始める段階に入る生徒さんが何人も続いています。

新しい音が出てくる

両手で弾く最初の段階は、1オクターブ違いで同じ音を弾くので、左手の位置が今までとは変わってきます。

今までは、真ん中のドに1の指を置いて、ドシラソファを12345の指で弾いていました。上の図の青の部分ですね。

ところが、真ん中のドから1オクターブ下を左手で弾くということは、新しい音符を3つ覚える必要が出てきます。

低いドに5の指を置きますから、12345の指はソファミレドを弾くことになります。今までにはなかったミレドが新しく出てくるのですね。上の図の赤の部分です。

できるだけ法則性をつかむようにする

ここで、5線の上に、ドレミファソがどのように並んでいるかという、法則性を理解しているとスムーズなのですが、小さいお子さんにとっては、ちょっと難しく感じる場合があるようです。

早い段階から、できるだけ法則性を教えるようにしてはいるのですが、最初の頃は、「これがド、これがレ…」というように1つずつ出てきますから、どうしてもそうやって1つずつばらばらに覚えがち。

昨日は、この段階の生徒さんに、音符カードを使って説明をし、並べて「ラの音符はどれ?」とか「ミの音符は?」とカルタ取りのようにして練習をしました。

個別の練習もする

その後、カードを見せて、この音は何だろう?と確認をしました。何回かくり返し練習しているうちに、だんだんスムーズにできるようになってきました。

カードの裏側にはかわいい絵もついているので、意外にみんなその絵が楽しみなようです。どんぐりとかみかんとかソフトクリームとか、よく見ています。

細かく分解する

実際の曲の場合には、音名に加えて、音の長さも重要になってきます。楽譜を読むというのは、意外にいろいろな要素が混ざっているのですね。

できるだけ分解して細かくして練習。楽譜の読み方を学ぶ場合にも、それは重要なポイントになっていきます。

「エリーゼのために」の繊細な美しさ

「エリーゼのために」は有名なピアノ曲です。「エリーゼのために」が弾けるようになりたい、と目標にしている生徒さんもいます。

6年生の生徒さんが、「小学校の1年生の時に弾いたんだけど、もう一度弾いてみたい。」ということで、今、練習しています。

あらためてよく楽譜を見ながら弾いてみると、いろいろ発見もあり、意外に難しい部分もあり、と楽しんで弾いています。

弱音の美しさ

よく楽譜を見てみると、強弱記号はpp~mfまでしか書かれていません。左手のラの音の上に和音がある部分も、アクセントとcresc.はありますが、pから始まっています。

そして、有名なミレ ♯ /ミレ♯ミシレ♮ドラの部分は、基本的にすべてppがついています。

とても優しく、繊細で、ささやくような、そんな感じがします。ですから、この曲を弾くには、ppからpで多くのことが表現できる必要があります。

小学校1年生ではその表現はなかなか難しく、ちょうど6年生がもう一度弾くにはとても良い勉強になっている。本当にそう思います。

リズムの難しさ

8分の3拍子です。この3拍子を感じながら弾くことが意外に難しい。

私の知人で、声楽を勉強した人(ピアノは苦手と言っています)が以前、「『エリーゼのために』を弾いた時、ミレ♯ミレ♯と弾いているうちに、何回弾いたかわからなくなって、多く弾きすぎた。拍子感がなかったからだね。」と言っていたことがありました。

確かに、ミレ♯ミシレ♮ドで3拍、1小節。その前に、ミレ♯がついたり、ミミレ♯がついていたり。

さらに3小節にわたってミのオクターブとレ♯が何回もついている部分がありますし、そこにはスラーが16分音符3つ分についていて、よけい拍子がとりにくく感じるのです。

実際に、家にあるピアノピースは、妹が使ったものなのですが、ミレ♯の連続の部分には、赤いボールペンで拍の頭に印がついています。

ただ、その拍感があいまいになりそうな、その部分からも、繊細ではかなげな雰囲気が感じられます。

繊細な気配りが必要

曲全体を通して、音量をどう考えていくかということ、リズムをどう感じていくかということ、その上で、メロディーの繊細な美しさをどう表現していくかということ。

とにかく全体にとても細かい心配りが必要な曲ですね。でも、それだけにこの美しさは本当にすばらしい。

レッスンしながら、私自身もその美しさに改めて感動しています。